スカイ・クロラ
先日、映画を観てから大分、時間が経ってしまいましたがレビューを。
戦争が無くなった世界で、戦争の悲惨さを後世に伝えるために、「キルドレ」という大人にならない子供達が戦争をしている世界が舞台である。彼らは、戦場で死なない限り永遠に生き続ける。世界が、社会が、環境が、状況が変わろうとも彼らの姿は変わらない。何時来るかわからない死に怯えつつも、変わらない自分達に無関心に生きている。感情をもたない人形のように・・・。
正直、この映画を観た時に、僕の中で二つの答えがあって、どちら映画の主題であるのか、どっちつかずでした。そして、還暦を越えたある建築家のブログを読んだ時に気づきました。どうもこれは世代によって捉え方が違うのだと。世の中何をやっても何も変わらないという捉え方と、同じように見える世界でも少しずつ何かが変わっているのだという捉え方です。
監督である押井守が、この映画は僕から若い人へのメッセージであるという言葉から後者なのであろうとは思っていたのですが僕の中では映画のストーリーとこのメッセージをイコールにすることができませんでした。(僕は後者の考え方は好きですが)でも、前述の建築家は、やはり後者であろうブログに記述していました。僕らは、ここ数年大きな変化に慣れすぎて、日常のちょっとした変化に鈍感になってしまったのかもしれません。世の中、漫画やテレビドラマのように極端に日常が変るはずが無いのに。ちょっとした変化でも大事にしたいものです。
ビュジアル的には、押井守らしくリアルな戦闘シーンは壮観であり、大きな雲が覆っている空もきれいでした。(ただ、映画のなかで一度も雲一つ無いスカイブルーは出てこなかったのが印象的でした。まるで、世の中に迷いの無い明確なことはないのだというメッセージにも感じられました。)
押井映画というと、押井節とでもいう理屈っぽい台詞が多いのですが、若手の女性脚本家が今回、脚本を担当したので、かなりソフトな仕上がりでした。それだけに女性が見ても苦痛に感じない映画になってますが、僕としてはその辺がちょっと残念でした。
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